ノミ駆除は年中投与がおすすめ
ノミを想像してください
と、言われると後ろ脚でピョンっと跳ねる小さな虫というようなイメージを抱く人が多いと思います。

実際、ノミの成虫はそのイメージで間違いありません。
ノミの起源は1億3万年前まで遡り、6000万年前には今と同じような姿かたちになっていたと考えられています。
ある意味完成された高度な昆虫と言えるのかもしれません。(専門じゃないので分かりませんが)
ノミの成虫はピョンっと跳ねる小さな虫(2−3mmくらい)というイメージでいいのですが、実はノミは卵→幼虫→サナギ→成虫という順で成長していく完全変態昆虫です。
アゲハチョウなんかは想像しやすいかもしれません。イモムシからサナギを経て、チョウになるのと同じようにノミも成長します。
幼虫と成虫では全く姿が違う昆虫です。
(不完全変態昆虫もいます。違いは成長過程でサナギがないような昆虫です。バッタやセミがこれに含まれます。)
ノミの成虫は2−3mmで肉眼でも見えますが、卵、幼虫、サナギの段階は肉眼では見つけづらいです。
絨毯や毛布、カーペット、布団などに潜んでおり、なかなか狙って駆除するのは難しいです。
メスのノミ1匹で1日平均13.5個の卵を産むのでなんかノミがいるなと思った頃には家の中に卵がバラまかれています。
ぜひ家中掃除してください。
ノミの寿命は?
サナギから成虫になったノミは直後から血を吸い始めます。
1−2日後には1日平均13.5個の卵を産み始めます。
だいたい2ー3週間で犬猫の毛づくろいで体から落とされますが、その間に卵は大量に産み落とされ、サナギになっていき、増え広がっていきます。
ノミが大量に寄生して吸血されたことで貧血になっていた猫も診たことがあります。
(ほとんどの場合はそこまで行く前に犬猫の痒みやノミ成虫を見つけて連れてこられますが)
増えるのは増えますがノミの成虫の寿命はそんなものです。
そんなに長くはないです。
しかし、サナギの段階のノミは乾燥や薬剤に対しても強いです。
乾燥状態でどれくらいの期間潜伏できると思いますか?
なんと半年〜1年もの間生存して、機会をうかがっていられるようです。
ノミの対策時期は?
では、ノミの対策はいつからいつまでやらないといけないんでしょうか。
だいたい暖かくなってきた春から秋だと思われていると思います。
実際、ピークシーズンはその期間になります。
これにはノミが成長していくのに必要な気温が関わっています。
ノミは13℃以上で発育が可能です。(もっと暖かい方が早く育ちます。)
地域にもよりますが、平均気温13℃以上になるのは春から秋までなのでこの時期はよりリスクが高いといえます。

13℃以上というのは別に外じゃなくてもいいわけです。
冬なら室内や室外機では13℃以下でしょうか?
そういう場合もあるでしょうが、13℃以上であることが多いと思われます。
また、ノミの寿命のところでも書いたようにサナギだと最長1年生存しています。
そういったことを考えると1年中ノミが発生リスクはあるといえます。
ノミ予防は年中投与をおすすめします。
感染経路や対処法は?
小動物臨床で問題になるのはノミの中でもネコノミとイヌノミの2種類になります。
割合的には圧倒的にネコノミ感染が多いようです。(イヌでも)
なのでこの記事では特に断りがない場合はネコノミの話をしていると思ってください。
感染経路
- 散歩(公園や草むら)
- キャンプ場(森林、河川敷)、牧野
- 人が家に持ち込む
- 外猫や野生動物との接触
旦那さんが外での作業を終えて、作業服を適当にイスにかけてたら、近くにいた赤ちゃんがノミ媒介性の感染症(ノミを通じてうつる病気)にかかっていたみたいな事例もあるようです。
本当にそれが原因なのかは置いておくとしてそういうこともありえるようです。
ニンゲンの方はニンゲンが注意するとして犬猫が自分でできるのは毛づくろいくらいです。
対処法
- 外猫や野生動物の生息場所や通り道は散歩コースから外す
- ケージやトイレは熱湯消毒し、ペットの寝床などの衣類は洗濯し、乾燥させる
- 部屋の掃除を頻繁に行う
- シャンプーする
- 駆虫薬を投与する
すでに感染している場合に駆虫薬以外の対策も重要ですが、それだけだとなかなか大変です。
散歩コースに気を使っていてもニンゲンが持ってくることもありますし、動物病院としては駆虫薬の投与を勧めています。
飲み予防薬はほぼダニ予防も入っているのでセットで予防できます。