猫の甲状腺機能亢進症 まとめ
猫の甲状腺機能亢進症についてまとめています。
滋賀県甲賀市・湖南市の動物病院 甲賀セレネ動物病院です。
当院では通常の院内検査だけでなく、春・秋の健康診断コースで測定することもできる甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患である甲状腺機能亢進症。
高齢猫で多くみられるこの疾患について詳しく解説していきます。
猫の甲状腺機能亢進症 まとめ

疾患概要と疫学
- 定義
- 甲状腺から甲状腺ホルモン(主にサイロキシン、T4)が過剰に分泌され、その結果、心臓、腎臓、神経系など全身の様々な器官系における代謝活動が異常に亢進する内分泌疾患である [51]。この代謝亢進状態が様々な臨床症状を引き起こす。
- 疫学
- 猫の内分泌疾患の中では最も一般的であり、特に高齢猫医療において遭遇する機会が非常に多い疾患の一つである [1, 50]。発症年齢は中齢から老齢(特に8歳以上)に集中しており、加齢とともに発生率は上昇する [2, 3, 51]。報告されている有病率には地域差が見られ、日本よりも欧米での報告が多い傾向があるが、この背景には遺伝的要因、環境要因(食事、化学物質への曝露)、あるいは診断や報告体制の違いなどが複合的に関与している可能性がある [51]。一部の報告では去勢雄猫でのリスクが高いとされているが [4]、その明確な理由は不明であり、性差については一致した見解が得られていない場合もある。

病態と原因
病態
疾患の根本的な原因は、甲状腺組織の良性腫瘍様変化である腺腫様過形成または腺腫が大部分(98%以上)を占める [5, 50, 51]。
これらは通常、ホルモンを自律的かつ過剰に産生・分泌する機能性腫瘤である。
病変は片側性の場合と両側性の場合があり、欧米では両側性が多い(約70%)とされる一方、日本では片側性の比率も比較的高いとの報告もある [5, 51]。
まれ(1-2%程度)に悪性腫瘍である甲状腺癌が発生することもあり、これは浸潤や遠隔転移(肺など)を起こす可能性があり、予後が大きく異なる [2, 6, 51]。
また、本来の甲状腺の位置から離れた場所(舌根部から縦隔まで)に異所性の甲状腺組織が存在し、そこからホルモンが過剰分泌されることもある [6, 51]。
良性の病変であっても、未治療のまま長期間経過したり、内科療法(抗甲状腺薬や食事療法)を長期間続けたりすると、腫瘍が徐々に増大し、気管や食道への圧迫症状を引き起こしたり、まれに悪性転化したりする可能性が指摘されている [7, 8, 50]。
原因
発症の正確なメカニズムはまだ完全には解明されておらず、単一の原因ではなく、複数の要因が複雑に関与する多因子性の疾患と考えられている [50, 51]。
可能性のある要因として、遺伝的素因(特定の品種における明らかな好発傾向は地域によって異なるが、素因の存在は示唆される)、食事内容(ヨウ素の含有量(過剰または不足)、大豆イソフラボンなどのゴイトロゲン(甲状腺腫誘発物質)、特定の缶詰に含まれる成分(例:ビスフェノールA)など)、環境中の内分泌攪乱化学物質(難燃剤に含まれるポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDEs)など)への曝露、そして甲状腺細胞の増殖やホルモン産生に関わる遺伝子(TSH受容体遺伝子やGNAS遺伝子など、ヒトの中毒性結節性甲状腺腫で見られるものと類似した変異)の体細胞変異などが研究・議論されている [9, 10, 11, 12, 13, 14, 50, 51]。
重要な点として、ヒトのバセドウ病(Graves' disease)でみられるような自己免疫(TSH受容体に対する自己抗体)は、猫の甲状腺機能亢進症の主要な原因とは考えられていない [9, 10]。

甲状腺機能亢進症の臨床徴候と身体検査

一般的な徴候
- 体重減少
- 代謝亢進によりエネルギー消費が増大するため、食欲が増進していても体重が減少することが最も多く報告されている(報告例の92%)[2, 15, 16, 50, 51]。
- 多食
- 代謝亢進に伴うエネルギー要求量の増加を反映し、多くの猫で見られる(55%)[2, 15, 16, 50, 51]。
- 多飲多尿
- 腎血流の増加や腎機能の変化などが関与し、約1/3の猫で見られる(33%)[2, 15, 16, 50, 51]。
- 活動過多・落ち着きのなさ
- 甲状腺ホルモンの中枢神経刺激作用により、多くの猫で観察される(41%)[2, 15, 16, 50, 51]。夜鳴きが増えることもある。
- 消化器症状
- 嘔吐(47%)や下痢(21%)は、消化管運動の変化(亢進または異常)が原因と考えられる [2, 15, 16, 50, 51]。
- 被毛粗剛・脱毛
- 代謝亢進による栄養状態の変化や、活動過多による毛づくろいの質の低下が影響する [2, 15, 50, 51]。
- 暑がり・パンティング
- 体熱産生の増加による(13%)[2, 15, 16, 50, 51]。涼しい場所を好むようになることがある。
心血管系
- 頻脈・心雑音・不整脈
- 甲状腺ホルモンは心筋に直接作用し(陽性変力・変時作用)、心拍数と収縮力を増加させる。頻脈(31%)や心雑音(29%)は一般的な所見である [2, 16, 17, 51]。
- 高血圧
- 発生機序は複雑だが、約10-30%の猫で見られる [16, 17, 24, 51]。
- 心筋肥大
- 持続的な心負荷により二次的に発生する。多くは治療により改善が見込める [16, 51]。

その他
- 頸部甲状腺腫
- 甲状腺の腫大は非常に高頻度(98%)で触知されるが、猫では位置やサイズから触知が難しい場合や、特に日本では腫大が軽微なこともある [8, 16, 18, 19, 51]。
- 筋肉量減少
- タンパク質の異化亢進により、特に背中や後肢の筋肉が削痩する(77%)[8, 16]。
- 行動変化
- 落ち着きがなくなるだけでなく、時に攻撃的になることもある [2]。
- 無気力型
- 活動過多とは逆に、活動性の低下を示す猫も少数ながら存在する(13%)。これは重度の併発疾患(心不全、腎不全、腫瘍など)が存在し、典型的な亢進症状がマスクされている場合に多い [16, 50]。
- 踵歩行(蹠行)
- 末梢神経障害によるもので、約15-20%で見られる。神経細胞の代謝異常が関与すると考えられ、血糖コントロールとは別の機序であり、甲状腺機能のコントロールにより改善することがある [20, 51]。
- 甲状腺クリーゼ(Thyroid Storm)
- まれだが、急性の重篤な状態。高熱、重度頻脈、呼吸促迫、神経症状などを呈し、迅速な集中治療を要する緊急事態である [51]。
甲状腺機能亢進症の診断

病歴聴取と身体検査
- 上記の臨床徴候の有無や程度を確認する。
- 身体検査では、甲状腺腫の触診(可能であれば)、心拍数・リズムの聴診、血圧測定などが重要となる [8, 16, 51]。
検査所見
- 血液検査
- TT4 (総サイロキシン): 最も重要なスクリーニング検査。高値(基準値上限を超える、特に5.0 µg/dL以上)であれば強く疑う [21, 51]。軽症例や併発疾患がある場合は正常範囲内(特に上限域)のことがある [21, 22]。
- fT4 (遊離サイロキシン): TT4が境界域で臨床的に疑わしい場合に補助的に測定。TT4より感度は高いが特異度が低く、偽陽性もあるため単独での診断には不向き [21, 22, 23, 51]。測定法(平衡透析法 vs CLEIA)による違いも考慮 [24]。
- TSH (甲状腺刺激ホルモン): 犬用キットでの測定は特異度が低く、診断的価値は限定的。亢進症では通常検出限界以下 [25]。医原性甲状腺機能低下症の診断補助にはなりうる [26, 27, 28]。
- 肝酵素 (ALT, ALP): 上昇が非常に多い (例: ALT 79%, ALP 42%) [15, 29, 52]。甲状腺機能亢進症自体に関連し、治療後に正常化することが多い [29, 52]。猫のALP半減期は犬より短い(約6時間)ため、軽度の上昇でも意義がある可能性がある [53, 52]。
- その他: 併発疾患(特にCKD)の評価(BUN, Cre, SDMA, 電解質など) [30, 31, 51]。
- 尿検査
- 尿比重、尿糖、タンパク尿、尿路感染の評価 [32, 33, 34]。
- 院内での検査が可能です。(設備紹介)
- タンパク尿については外部の検査機関に依頼する必要があることがあります。
- 尿比重、尿糖、タンパク尿、尿路感染の評価 [32, 33, 34]。
- 画像診断
- 頸部超音波: 甲状腺のサイズ、形状、内部構造の評価 [51]。
- 腹部超音波: 併発疾患(腎臓、膵臓、肝臓、胆道系など)のスクリーニング [36, 51]。
- 胸部X線: 心拡大、肺水腫の評価 [35, 51]。
- 甲状腺シンチグラフィ: 診断感度が非常に高い。機能亢進部位の特定(片側/両側/異所性)、癌の疑い、¹³¹I治療線量決定の補助に有用。特殊設備が必要 [37, 50]。
- CT: 異所性組織、胸腔内浸潤、転移の評価 [51]。シンチグラフィなしでは片側性か両側性かの判断はCTでも困難な場合あり [38, 52]。
- 必要な場合は2次診療施設をご紹介します。
甲状腺機能亢進症の治療

治療選択肢の概要
- 抗甲状腺薬、放射性ヨウ素(¹³¹I)治療、外科手術、ヨウ素制限食の4つの主要な選択肢がある [50, 51, 52]。
- 猫の状態、併発疾患の有無、治療への反応、飼い主の意向、費用、地理的な制約(¹³¹I治療施設の有無など)を考慮して、最適な治療法を選択する。
- 地域差も見られ、例えば¹³¹I治療は米国では第一選択とされることが多いが、日本では実施施設が限られるため、多くの場合は内科治療が行われ、ときに外科手術が選択されるケースもある(特に片側性や癌が疑われる場合)[52]。
抗甲状腺薬 (メチマゾール/チアマゾール)
- 作用機序
- 甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)を阻害し、甲状腺ホルモンの合成を抑制する [56, 52]。
- 剤形
- 経口薬(錠剤)と経皮吸収薬(軟膏)がある [40, 41, 52]。
- 経口薬
- 比較的よく行われる方法です。一般的な開始用量は1.25-2.5 mg/頭を1日1回または2回投与する [39, 52]。副作用の発生率は経皮吸収薬と比較して高い傾向がある(例:嘔吐/食欲不振 22%)[39, 52]。
- 経皮吸収薬
- 耳介内側に塗布する。投薬ストレスの軽減や消化器系副作用の低減(例:嘔吐/食欲不振 3.7%)が期待できる [52]。開始用量は2-2.5 mg/頭を1日1回から、効果を見ながら4-5 mg/頭を1日1〜2回に増量することがある [52]。調剤に必要な基材が日本国内では手に入らない場合がある。
- モニタリング
- 投与開始後2-3週間で血液検査(TT4、CBC、生化学検査)を行い、効果と副作用を確認し、用量を調整する。目標TT4値(基準範囲下限〜中間域)を目指す。
- 安定後は3-6ヶ月ごとに定期健診を行う [39, 52]。TT4の測定は、薬剤の血中濃度半減期に関わらず、投与後のいつでも可能である [42, 52]。
- 副作用
- 比較的多く見られるものとして消化器症状(嘔吐、食欲不振、嗜眠)、まれだが重篤なものとして血液異常(好中球減少 16%, 血小板減少 2.8%など)、肝障害(2.6%)、顔面掻痒(4%)などがある。
- 重篤な副作用が発生した場合は、直ちに投薬を中止し、再投与は原則として行わない [39, 43, 52]。
放射性ヨウ素(¹³¹I)治療
- 特徴
- 放射性ヨウ素が甲状腺組織に選択的に取り込まれ、β線により甲状腺細胞を破壊する。根治性が高く(治癒率95%)、非侵襲的であるため、欧米では第一選択とされることが多い [44, 52]。
- 実施
- 特殊な許可を受けた施設でのみ実施可能。治療後、猫の体から放射能が十分に減衰するまで隔離入院(数日〜数週間)が必要。退院後も一定期間、排泄物(尿、糞便)の取り扱いや猫との接触に注意が必要となる [50, 52]。
- 副作用
- まれであり、医原性の甲状腺機能低下症(5%程度)、一過性の甲状腺炎(嚥下困難、発熱)、永続的な声の変化などが報告されている [44, 45, 52]。
外科的甲状腺切除術
- 特徴
- 機能亢進している甲状腺組織(片側または両側)を外科的に摘出する根治治療。熟練した技術を要する [46, 52]。
- 適応
- ¹³¹I治療が利用できない場合、薬物療法や食事療法が不適応または効果不十分な場合、腫瘍が非常に大きい場合や嚢胞変性を伴う場合、甲状腺癌が疑われる場合などに考慮される [52]。
- 合併症
- 最も注意すべきは、副甲状腺の損傷による術後の低カルシウム血症(発生率6%程度)である。その他、反回神経麻痺による声の変化、ホルネル症候群、出血、感染、甲状腺組織の残存や異所性組織による再発などがある [46, 52]。両側摘出の場合は、生涯にわたる甲状腺ホルモン補充が必要になることがある。
ヨウ素制限食 (例: Hill's y/d)
- 作用機序
- 甲状腺ホルモンの構成要素であるヨウ素の摂取量を厳しく制限することで、ホルモン合成を抑制する [50, 52]。
- 特徴
- 非侵襲的で投薬の必要がないが、効果を得るためにはこの療法食以外の食べ物(おやつ、他のフード、盗み食いなど)を一切与えないという厳格な食事管理が必要となる [50, 52]。
- 有効性と限界
- 全ての猫で十分な効果が得られるとは限らず、特に中等度〜重度の甲状腺機能亢進症では、TT4値が正常範囲まで低下しない、あるいは正常化までに長期間を要することが報告されている [47, 48, 52]。嗜好性の問題で食いつきが悪い場合もある。
- 注意点
- 抗甲状腺薬との併用は、TT4値が過度に低下するリスクがあるため禁忌である [50]。健康な猫への長期(2年間)給与試験では、明らかな健康上の問題は報告されていない [49]。

補助療法
- 頻脈や不整脈、興奮性などの交感神経系の亢進症状を緩和するために、β遮断薬(アテノロールなど)が対症療法として用いられることがある [40, 50]。高血圧が認められる場合は、アムロジピンなどの降圧剤が必要となる [40, 50]。
甲状腺機能亢進症のモニタリングと管理

- 総合的な評価
- 治療の成否は、単一の検査値だけでなく、臨床症状の改善(体重増加、多飲多尿・活動性の正常化、被毛状態の向上など)、身体検査所見(心拍数、甲状腺腫のサイズ、BCS/MCS)、そして血液検査結果を総合して判断する [50, 51]。
- TT4値の管理
- 定期的なTT4測定は必須である。目標は、基準範囲内、特に下限〜中間域に安定させることであり、高値(治療不足)だけでなく、低値(過剰治療による医原性甲状腺機能低下症のリスク)も避ける必要がある [39, 50]。測定頻度は治療法や安定度により異なり、治療開始・変更直後は2〜4週間ごと、安定期は3〜6ヶ月ごとが目安となる [39, 52]。
- 腎機能の監視 (CKD顕在化)
- 甲状腺機能亢進症は腎糸球体濾過量(GFR)を増加させ、潜在的な慢性腎臓病(CKD)を隠蔽している可能性があるため、治療による甲状腺機能正常化に伴いCKDが顕在化(高窒素血症が出現・悪化)することがある [31, 50]。したがって、BUN、クレアチニンだけでなく、可能であればSDMA、尿蛋白クレアチニン比(UPC)、尿比重なども含めて腎機能を定期的に評価し、CKDが診断された場合はIRISステージ分類などに基づいた適切な管理を開始することが重要である [30, 31, 54]。
- 医原性甲状腺機能低下症の検出
- 過剰な治療は、嗜眠、活動性低下、過度の体重増加、皮膚症状などを引き起こす可能性がある。特に腎機能への悪影響(高窒素血症の悪化)が懸念される [54]。TT4値が基準範囲下限を下回り、臨床徴候が見られる場合、あるいはTSH値(犬用キット)の上昇(解釈には注意が必要)が見られる場合に疑い、治療薬の減量を検討する [26, 27, 28, 54]。
- 副作用の監視
- 特に抗甲状腺薬を使用している場合は、嘔吐、食欲不振、嗜眠などの一般的な副作用や、稀だが重篤な血液異常(白血球減少、血小板減少)、肝障害、顔面掻痒などの兆候に注意を払う必要がある [39, 43, 52]。外科手術や¹³¹I治療後も、それぞれの合併症(低カルシウム血症、甲状腺炎など)の可能性を念頭に置く。
- 継続性
- これらのモニタリングは、選択した治療法に関わらず、猫の生涯を通じて定期的に継続する必要がある [50, 51]。
甲状腺機能亢進症の予後

適切な治療と管理を行えば、多くの猫は甲状腺機能亢進症の診断後も数年間、良好な生活の質を維持することが期待でき、一般的に予後は良好である [3]。
しかし、併発疾患、特に進行性である慢性腎臓病(CKD)の存在とその管理状況は、長期的な予後や生活の質に影響を与える重要な因子となる [54, 55]。治療後に高窒素血症が顕在化した場合でも、適切なCKD管理を行えば、必ずしも生存期間が著しく短縮するわけではないとの報告もある [55]。
診断時の年齢や全身状態、甲状腺機能亢進症の重症度、心不全や腫瘍などの他の重篤な併発疾患の有無、そして治療とモニタリングに対する飼い主の継続的な協力度合いも予後に関わる要因である。まれな甲状腺癌(約1-2%)の場合は、転移のリスクなどからより慎重な予後評価が必要となる [5, 50]。
飼い主への甲状腺機能亢進症についての情報提供

飼い主に対しては、甲状腺機能亢進症が未治療の場合は進行性であり、様々な全身症状を引き起こす可能性があること、しかし適切な治療と管理によって多くの猫が良好な状態を維持できる慢性疾患であることをまず説明する [57]。
その上で、各治療法(抗甲状腺薬、¹³¹I、外科手術、食事療法)の具体的な内容、期待される効果、利点(例:根治性、投薬の有無)と欠点(例:副作用、費用、入院期間、食事制限の厳格さ)、そして各治療に伴うリスクや副作用の可能性について、十分に情報を提供し、猫と飼い主の状況に合わせた最適な選択ができるよう支援する [57]。
生涯にわたる治療や管理(投薬、食事、定期的な通院・検査)の必要性と、それに伴う費用(初期診断費用、継続的な薬剤・食事代、定期検査費用、合併症治療費など)について、現実的な見通しを共有することが、治療の継続と成功のために不可欠である。
モニタリングの目的(治療効果の判定、副作用や合併症(CKD顕在化、医原性甲状腺機能低下症など)の早期発見)を理解してもらうことも重要である。また、高齢猫では他の疾患を併発している可能性が高いため、それらの併発疾患の管理も含めた総合的なケアプランについて話し合う必要がある [57]。
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